✾ 灸療法について

◆ 直接灸と間接灸

ツボを用いる治療法の中でも、お灸は極めて特有の形態をもちます。

もぐさとはヨモギの葉を乾燥させたものであり、


A. 皮膚の上で焼灼する直接灸。

B. 皮膚を温める間接灸(生姜やびわの葉などを用いた隔物灸、又は棒灸)。


の、2タイプに大別されます。

 

この2つは作用を異にしており、資料によれば、

「直接灸の主目的は病根を抜くこと」、

「間接灸の主目的は体調を慰撫すること」とありました。

 

* 色が白っぽいものほど燃焼温度が低くサッと一瞬に燃えるので、直接灸向き。右端は棒灸。
* 色が白っぽいものほど燃焼温度が低くサッと一瞬に燃えるので、直接灸向き。右端は棒灸。

◆ 変形性膝関節症へのお灸

日々の臨床の場において、「だんだんと、膝(ヒザ)がO脚(がに股)になってきた・・・。」「膝に水が溜まりやすい。」「梅雨時や雨の降る前日には膝が病めてくる。」などなど、

このように中国伝統医学(略して中医学)によるところの「痺証(ヒショウ)」という概念に対しては、お灸を行うことで劇的に改善することが多々あります。


◆ 痺証(ヒショウ)とは

「痺」は、はばまれたり閉じられて通らないことを意味し、「痺証」とは「風・寒・湿・熱」の病邪に「気・血・津液(シンエキ)」の流れが妨げられ、関節や筋肉の痛み、運動障害、重だるさ、しびれ感を惹き起こす病態で、リウマチや神経痛等によくみられます。


すなわち、病気の根本的な原因が解決されぬまま長期に及んだ結果、いわゆる「こじれた状態」に移行してしまったと考えれば、わかりやすいかもしれません。

 


◆ 病根の解釈

お灸は、「病根を絶つ(抜く)」と表現されることがあります。

病根とは病の根本的な原因を指すものと思われます。

病根を絶つには、直接灸が有効です。