✾ 鍼療法について

◆ 鍼は「糸電話」の役割

●当院玄関前に寄せ植えされたプリムラの花。
●当院玄関前に寄せ植えされたプリムラの花。

■ 鍼は東洋哲学的思想を原点とし、自然界に密着した、限界のない、人のための経験医学に基づく治療法です。

 

■ 例えば「五行思想」では、万物が「木・火・土・金・水(モク・カ・ド・ゴン・スイ)」から成るものとし身体にあてはめられており、その法則の一つに「木は火を生じ(風で木と木がこすれ合って火がつく)、火は土を生じ(燃えたものが灰になって土にかえる)、土は金を生じ(地面の中で鉱物が産生される)、金は水を生じ(鉱脈と鉱脈の間に水が通る)、水は気を生ずる(水分を吸い取って木が成長する)」といった相生(ソウショウ)関係にあることからもご理解いただければ幸いです。

 

■「金へん」に「感じる」と書いて鍼(はり)と読むように、鍼は施術者と患者さん双方の気を直に感じ取れる糸電話のような役割を担っておりますので、当院では前述の概念をもとにして決して一方通行ではない治療を実践しております。


◆ 鍼治療で心がけていること

1)消毒面に関して、鍼はもちろんのこと、室内も徹底しております。

 

2)鍼の材質は全てステンレス製です。

  古来より伝わる 金鍼・銀鍼・鉄鍼のたぐいは用いないようにしております。

  なぜならば、衛生面と耐久性の観点より適切ではないと判断したからです。

 

3)治療の際、長時間の伏臥位(腹ばい又はうつ伏せ)を避けるよう努めております。

  特に、高血圧・心疾患、脳血管障害等の既往歴がある患者さんなど。


◆ 経絡治療とは

東洋医学の概念では、例えば駅区間をつなぐ線路のように、人体においても経穴と経穴をつなぐ経絡(ケイラク)というルートが存在します。

これは、気血(キケツ)というエネルギーの通り道を意味します。

 

当院では、経絡の変動を脈診(六部定位脈診法)・腹診・舌診等で証を立ててから(病状を見極めてから)、心地よい鍼響(鍼を刺入した際に生ずるズシンとした重さ・熱さ・清涼感等の特有の感覚)が得られるよう、吉田流鍼術を駆使しながら本治法(対症療法ではなく、根本的な体質改善を促す治療法)を行っております。 


◆ 灸頭鍼(キュウトウシン)とは

* 灸頭鍼(キュウトウシン)
* 灸頭鍼(キュウトウシン)

灸頭鍼は、あらかじめ刺入した鍼の上にもぐさを乗せて点火するするという鍼療法の1つで、温灸と鍼の効果を同時に得られるというメリットがあります。

 

当院では、女性によく見受けられる冷え性や血於(ケツオ)に応用することがあります。ちなみに血於とは、血液が停滞することによって生じる病的な状態を指します。


◆ 痛くない鍼

* 二間、三間、合谷穴に置鍼中。
* 二間、三間、合谷穴に置鍼中。

当院では、全てエチレンオキサイドガス滅菌加工処理されたディスポーザブル鍼を使用しております。その中でも、新開発された直径0.1mmの鍼は全くといって良いほど痛くありません。

 

直径0.1mmということは、糖尿病患者向けに開発されたインシュリン用注射針(直径0.2mm)や毛髪よりも更に細いサイズであり、尚且つ蚊のハリ先とも大差がないということを意味します。

 

鍼先は「松葉型」という丸みを帯びた形状なので、人体組織を傷つけることなく浅い箇所から深い箇所まで自由自在に直接的な刺激を加えることが可能です。

これぞまさに、鍼治療の最大長所といえるでしょう。 


◆刺さない鍼

* 接触鍼の種類
* 接触鍼の種類

刺さない鍼の代表格に「接触鍼」があり、小児ばりとして用いることも可能です。

 

画像の左から順に、

A. ローラー鍼

B. 円利鍼(小)

C. 円利鍼(大)

D. 堤鍼(テイシン)

 

Aは皮膚の上をコロコロ転がして、

BとCは手を添えながらさするように、

Dは先端がバネ仕掛けになっているので軽やかにトントンと刺激するように使います。